2025年12月、スクウェア・エニックスよりシリーズ最新作にして3作品目となる『オクトパストラベラー0』が発売されました。
本作は、スマートフォン向けアプリ『大陸の覇者』で描かれた重厚なシナリオをベースにしつつ、「家庭用ゲーム機RPG」としてシステムを刷新した完全新作です。
今回は、実際に100時間以上プレイして感じた魅力や、気になる点について本音でレビューしていきます。


目次
オクトパストラベラー0の基本情報
| ジャンル | RPG |
| 開発元 | スクウェア・エニックス |
| 発売日 | 2025年12月4日 |
| 機種 | Switch / Switch2 / PS5 / Steam |
| プレイ人数 | 1人 |
| おすすめ度 | 3.5 |
『オクトパストラベラー0』は、ドット絵と3DCGが融合した「HD-2D」グラフィックが特徴的のシングルプレイRPGです。
本作は、スマホ版『オクトパストラベラー 大陸の覇者』を家庭用ゲーム機に落とし込んだ作品であり、オクトパストラベラー1よりも過去の話になるので「0」のナンバリングが冠されています。
シリーズ初となるキャラクターメイクやタウンビルド(街づくり)、そして総勢30人以上の仲間を自分の足で集める冒険を楽しめます。
ストーリー(あらすじ)
物語の舞台は、第1作『オクトパストラベラー』から数年前のオルステラ大陸。 かつてない繁栄を極めつつあったこの大陸は、「富・権力・名声」をそれぞれの欲望のままに極めた3人の覇者たちによって支配され、深い闇に覆われていました。
プレイヤーは聖火神の導きを受けた「選ばれし者」として、指輪に導かれ、欲望にまみれた覇者たちに立ち向かう旅に出ます。 強欲な魔女「富」、英雄と呼ばれる独裁者「権力」、狂気の芸術家「名声」。
どの物語から進めるかはプレイヤーの自由。人間の業と絶望、そして希望を描いた重厚なドラマが展開されます。
ブーストを使った戦略性の高いコマンドバトル
戦闘はシリーズおなじみの「コマンドバトル」を採用。敵の弱点を突いて行動不能状態にする「ブレイク」と、ターン経過で溜まるBPを消費して攻撃回数や威力を強化する「ブースト」を駆使して戦います。
本作最大の特徴は、前衛4人・後衛4人の計8人パーティで挑む総力戦です。 ターン消費なしで前衛と後衛を自由に入れ替えることができ、後衛に下がったキャラクターはHPとSPが毎ターン回復します。
「SPを使い切ったら後衛で休ませる」「ブレイクした瞬間に高火力のキャラを前に出す」といった、8人全員を使いこなすスピーディーで戦略的なバトルが楽しめます。
シリーズ初!主人公は「あなた自身」でキャラメイクが可能
これまでのシリーズとは異なり、本作の主人公はあらかじめ設定された8人の旅人ではなく「プレイヤー自身」です。
ゲーム開始時に、性別・顔・声・ジョブなどのキャラメイクを行います。主人公は基本的に喋りませんが、物語の重要な局面で選択肢を選び、それがシナリオの分岐や結末に関わってくることもあります。
自分自身の分身としてオルステラの世界を旅する、かつてない没入感を味わえます。
廃村を復興させる「タウンビルド」要素
冒険の拠点となるのは、主人公の故郷となる村「ウィッシュベール」。 プレイヤーはこの村の再興を託され、冒険の合間に村を発展させていくことになります。
旅先で出会った人々を「フィールドコマンド」で勧誘して移住させると、最初は瓦礫だらけだった村に家が建ち、鍛冶屋や牧場などの施設が充実していきます。
住人が増えれば強力な装備が手に入ったり、毎日アイテムがもらえたりと冒険が有利に。自分だけの街を作り上げる箱庭的な楽しさが詰め込まれています。
評価点・面白かったところ
それでは実際に「オクトパストラベラー0」を遊んで良かった点を紹介します。
前衛・後衛入れ替わる8人バトルが面白い!
本作のバトルは、4人パーティだった従来のシリーズとは異なり、前衛4人・後衛4人の計8人で戦います。最初はスマホ向きのシステムかと思いましたが意外に、戦略性を大きく引き上げていたな。と感じました。
「ターン消費なし」で前後衛を入れ替えられるため、SPが枯渇したキャラを後衛に下げて回復させたり、敵の弱点に合わせて武器種を持つキャラを前に出したりと、毎ターンの駆け引きが非常にスピーディーに。敵をブレイクさせた後は、BPを温存していた後衛に交代して総攻撃を仕掛けるなど、従来のシリーズから新たな戦略性を持たせた面白さだと感じました。
スキル付け替えで組み合わせを考えるのが楽しい
キャラクターはそれぞれ固有のジョブやアビリティを持っていますが、仲間が覚えている技・アビリティを「極意」として抽出できるようになります。
仲間から抽出した技や、町で教えてもらったアビリティを装備すれば、本来そのジョブでは覚えられない技・アビリティを他のキャラクターが使えるようになるのです。
バトルで使用できるスキルの枠(スロット)には限りがあるので 「ザコ戦用には全体攻撃を多めに」「ボス戦用にはデバフと単体火力を」といったように、敵に合わせてスキルの組み合わせ(デッキ構築)を考える時間が面白いと感じました。
たくさんの仲間を集めるのが楽しい
スマホ版ではガチャ(運)でしか手に入らなかったキャラクターたちが、本作では自分の足で世界を探索し、サブクエストやフィールドコマンドで勧誘することで仲間になります。
仲間になるキャラクターがいると、マップにアイコンで表示されるのでストレスフリー。所持している技・アビリティが「極意化(他の仲間でも使える)」システムがあるおかげで、どんな「技・アビリティ」を持っているのかワクワクして確認してしまう面白さがありました。
本作では30人以上の仲間が用意されているので、『幻想水滸伝』のような「仲間集め」の楽しさがありますよ。
ゲーム音楽が良い
シリーズファンにはおなじみ、西木康智氏による楽曲が今回も神懸かっています。 美しいドット絵の風景に溶け込むフィールド曲はもちろん、ボス戦のBGMはイントロが流れた瞬間から鳥肌が立つほどの格好良さです。
特に、物語の核となる3人の覇者(ボス)それぞれの専用テーマ曲は、そのキャラクターの狂気や威厳を見事に表現しており、バトルの緊張感を極限まで高めてくれます。音楽を聴くためだけにゲームを起動したくなるレベルです。


ストーリーボリューム満点!100時間以上楽しめる
スマホ版「大陸の覇者」のシナリオがベースなので、リリースから5年分少しずつ追加してきたシナリオが本作では最初から最後まで遊べていまいます。
あらすじで紹介されていた「富・権力・名声」3つのシナリオが意外とあっさり終わってしまったので心配していたのですが、そこからがまだまだ長かった・・・!
本作から新たに加えられた廃村を復興させるストーリーや、世界中に散らばる「30人以上の仲間集め」、メインストーリーを遊び尽くそうとすれば、クリアまで100時間は余裕で超えます。
「最近のRPGはすぐ終わって物足りない」という人でも大満足間違いなしボリューム感です。
問題点・悪かったところ
続いて、実際に遊んでみて悪かった点です。
戦闘システム・育成・音楽と良い。と素材はかなり良いのですがそれを打ち消すレベルで問題点も多かったので、購入前にチェックしてみてください。
ゲームバランスが悪い
システム自体は非常に面白いのですが、難易度調整が大味で、意識してレベル上げをしなくても「ヌルゲー」化してしまうのが非常に惜しい点です。
ランダムエンカウントの発生率が高く、かつ獲得経験値も多めに設定されているため、普通にマップを探索しているだけで、パーティのレベルがストーリーの推奨レベルを遥かに超えてしまいます。
強力な「極意」スキルの組み合わせも相まって、本来なら戦略が必要な奥深いバトルも「何も考えずにブレイクして、高火力スキルを叩き込むだけ」で1〜2ターンで終わってしまいます。せっかくの戦略的なシステムが、この調整不足のせいで台無しになってしまっているのは非常に残念でした。


JP(ジョブポイント)関連の仕様が遊びに制限をかける
本作の最大の魅力である「極意化(アビリティ移植)」ですが、これを行うには大量のJP(ジョブポイント)が必要になります。しかし、通常の戦闘で得られるJPは雀の涙ほどしかなく、普通に戦っているだけでは全く足りません。
現状、効率よくJPを稼ぐには、商人のアビリティ「幸運の矢」(敵に与えたダメージに応じてJPを獲得する技)を使う必要があります。 その結果、どの戦闘も「いかに幸運の矢で大ダメージを与えるか」という一点に縛られてしまい、パーティ編成や戦術が固定化されてしまいます。
「色々なキャラのスキルを自由に組み合わせて楽しんでね」というシステムのはずが、そのための準備(JP稼ぎ)のせいで戦術の幅が狭まり、遊びに制限がかかってしまっているのは本末転倒だと感じました。
主人公が喋らないため、ストーリーで蚊帳の外になりがち
シリーズ初のキャラメイク主人公ですが、基本的に無口(選択肢のみ)なため、重厚なドラマの中で「空気」になりがちです。
重要な会話シーンでも周りの仲間だけで話が進んでしまい、自分はただ傍観しているだけ…という疎外感を感じる場面が多々ありました。
あと単純にシナリオも、展開に無理がありすぎる場面や、話を引き伸ばしているだけの冗長なパートも多く、正直なところストーリー全体を通して「面白い」とは感じられませんでした。
遊び方に変化が無くて飽きる
100時間遊べるボリュームはありますが、中盤以降は作業感が出てきます。
戦闘面に関しても前作にあったような、戦況を一変させる強力な「上位ジョブ」が存在しないため、キャラクターが育ちきってしまうと戦術に新しい変化が生まれず、最後まで同じような戦い方が続いてしまう点も飽きてしまう要因かな。と思います。
総評・まとめ
| ボリューム | 100時間以上 |
| ストーリー | 3 |
| ゲームシステム | 3.5 |
| グラフィック | 4 |
| ゲームBGM・音楽 | 4.5 |
| キャラクター | 2.5 |
| おすすめ度 | 3.5 |
『オクトパストラベラー0』を一言で表すなら、「素材は最高級なのに、調理法で損をしている惜しい作品」です。
「8人パーティでのコマンドバトル」や「スキルの極意化」、「街づくりと仲間集め」といったシステム部分の面白さは間違いなく本物です。 そして、バトルを盛り上げるBGMの良さはオクトパストラベラーらしく素晴らしいものでした。これだけでも遊ぶ価値あり!と断言できます。
しかし、それを支えるゲームバランスが大味な点や、JP稼ぎの作業感が、せっかくの面白いシステムを台無しにしてしまっていると感じました。
- ひたすら育成やカスタマイズをするのが好き
- 『幻想水滸伝』のように仲間を集めるのが好き
- バトルは深く考えなくてもサクッと倒せるのが良い
という人には強くおすすめできますが、「歯ごたえのあるバトル」や「感情移入できるストーリー」を求めている人は、合わない人もいるかもしれません。
とはいえ、100時間以上遊べるボリュームと、自分だけの最強パーティを作る楽しさは確かにあります!。日本の良質なRPGで遊びたいなら手に取る価値のある一本です!
似たようなゲームであれば、「ブレイブリーデフォルト2」がおすすめです!
難易度も程よく、ゲームシステムも楽しい!音楽も最高なので未プレイの方は是非!






























