『ファイアーエムブレム エンゲージ』は、2023年1月20日にインテリジェントシステムが開発・任天堂が販売するシミュレーションRPG。シリーズファンとして本作もしっかりとプレイしたので本作の評価とレビューをお伝えて行きたいと思います!
『ファイアーエムブレム エンゲージ』の基本情報
ジャンル | シミュレーションRPG |
開発元 | インテリジェントシステムズ |
発売日 | 2023年1月20日 |
機種 | Nintendo Switch |
プレイ人数 | 1人 |
おすすめ度 | 4 |
『ファイアーエムブレム エンゲージ』は、ファイアーエムブレムシリーズの18作目。Nintendo Switch向けとしては2作目となる完全新作タイトル。マス目の敷かれた盤面状でキャラクターを移動・攻撃させて戦うシミュレーションRPG形式のゲームです。
本作では、歴代ファイアーエムブレムのキャラクターが登場。
- 『暗黒竜と光の剣』『紋章の謎』の主人公「マルス」
- 『封印の剣』の主人公「ロイ」
- 『風花雪月』の男主人公「ベレト」
など、総勢12人の歴代キャラクターが「指輪の紋章士」というポジションで登場し、本作に出演するキャラクターのサポートをしてくれます。
あらすじ
竜と人間が生きる地「エレオス大陸」。
千年前、世界を滅ぼさんとする「邪竜」との戦争が勃発。
人々は異界の英雄「紋章士(エムブレム)」の力を借り、長きにわたる戦いの末、邪竜の封印に成功。
世界は安寧を取り戻していた。
しかし、時が経つにつれ封印の力は弱まり、ついに邪竜復活の兆しが現れたとき、
主人公は千年の眠りから目を覚ます。神竜の王である母の願いを受け継いだ主人公は、
かつて共に戦った紋章士たちが宿る12個の指輪を集める旅に出るのだった。出典:公式ホームページ
ゲームの流れ
ファイアーエムブレム エンゲージでは章ごとにエピソードが進み、次のようなルーチンで進んで行きます。
- シナリオ
- 戦闘
- 戦闘後のマップの探索
- 活動拠点での自由時間
シミュレーションRPGらしく戦闘の比重が大きめですが、活動拠点ではミニゲームやキャラとの交流など様々なコンテンツが用意されており戦闘以外の要素も充実しています。
バトルシステム
「ファイアーエムブレム」の戦闘は、四角のマス目で区切られた盤面上にキャラクターを配置して、移動・攻撃を選択してチェスのように動かすタクティクスRPG。
似たようなゲームでは、「タクティクスオウガ」「ファイナルファンタジータクティクス」「ディスガイア」などがあげられます。
キャラを動かす順番はターン性となっており、味方全員の行動が終了したら「相手のターン」という感じです。
クラス
戦闘に参加するキャラクターの戦闘スタイルは、設定されるクラスによって変わってきます。
- 剣を装備する歩兵「ソードファイター」
- 槍を装備する馬兵「ランスナイト」
- 魔法攻撃を得意とする「マージ」
など、様々なクラスが用意されており、条件さえクリアすれば誰でもクラスチェンジも可能です。
「誰をどんなクラスに就かせて、どのような戦い方をするか」というのもファイアーエムブレムシリーズの戦闘の醍醐味と言えます。
3すくみ
前作「ファイアーエムブレム 風花雪月」にはなかった「3すくみ」の要素が本作では復活。
- 剣は斧に強い
- 斧は槍に強い
- 槍は剣に強い
- 体術は弓・魔道書・短剣に強い
- 弓・魔道書・短剣は、剣・斧・槍に有利・不利が付かない
という感じで設定されており、武器のバランスも考慮して編成を組む必要があります。
<新要素>ブレイク
3すくみの強弱を更に強化した要素。
有利な武器で攻撃をヒットさせた場合、当たったキャラはブレイク状態となり、次の自分のターンを迎えるまで反撃が不可能となります。
敵味方問わず有効な強力なシステムなので、3すくみを意識した立ち回りが更に重要となりました。
指輪の紋章士の力
「ファイアーエムブレム エンゲージ」で一番大きな特徴。
歴代ファイアーエムブレムのキャラクターは紋章士と呼ばれ、指輪に霊体のような形で宿っており、装備したキャラクターに力を貸してくれます。
シンクロ
紋章士の宿った指輪を装備したキャラクターは、戦闘中シンクロ状態となります。
シンクロ効果は、バトル中常に発動されキャラクターの能力が上昇し、専用のスキルが解放されます。
エンゲージ
戦闘中、専用のゲージが貯まると、指輪を装備したキャラクターと紋章士が合体することができます。
この状態はエンゲージと呼ばれ、3ターン持続し様々な能力が解放されます。
- エンゲージ武器:合体した歴代キャラをモチーフとした武器が解放
- エンゲージスキル:エンゲージ中のみ有効となる特殊なスキル
- エンゲージ技:エンゲージ中1回のみ使用可能となる強力な必殺技
スキル継承
戦闘中、キャラクターに優位な効果をもたらすスキルです。
キャラクター固有のスキルが一つ。その他のスキルは、紋章士との絆が深めることで、その紋章士が持つスキルを習得することができます。
難易度・ゲームモード
難易度
- ノーマル:初心者・中級者向け
- ハード:上級者向け
- ルナティック:最難関を求める人向け
ゲームモード
- カジュアル:倒れた仲間は次の章で復活するお手軽モード
- クラシック:倒れた仲間は二度と復活しないシビアなモード
ゲーム開始後は、難易度を下げることは可能ですが、上げることはできません。
ゲームモードについては、途中変更不可です。
活動拠点ソラネル
戦闘の合間には、主人公の住む町ソラネルを拠点とし、キャラクターと交流したり、ショップで買い物をしたりと様々な行動が実施できます。
- 鍛錬の間:キャラクターの訓練が行える
- 店(ショップ):武器・道具の購入、装備品の強化などが実施できる
- レストラン:素材を消費して、次の戦闘でのパラメータを上昇させる
- ミニゲーム:筋肉体操・ドラゴンシューター・釣りで遊べる
登場キャラクター
本作では、主人公含む総勢30人以上のキャラクターが仲間として登場します。
その中の序盤から登場するキャラクターを一部ご紹介。
主人公:リュール
声優:下野紘(男) / 遠藤綾(女)
ゲーム開始時、性別を選択可能。
仲間キャラクター
ヴァンドレ(CV:上田燿司) |
クラン(CV:天崎滉平) |
フラン(CV:千本木彩花) |
アルフレッド(CV:木村良平) |
セリーヌ(CV:鬼頭明里) |
アンナ(CV:世戸さおり) |
紋章士
マルス(CV:緑川光) |
セリカ(CV:東山奈央) |
ベレト(CV:小林裕介) |
評価点・面白かったところ
ここからは実際に私がプレイしてファイアーエムブレム エンゲージの面白いと思ったポイントを紹介させていただきます。
シリーズ安定のバトルの面白さ
戦闘については、過去シリーズから見てもトップクラスの面白さだと思います。
完成されたシステム・UIでストレスなく快適に遊べる操作性。戦闘は歯ごたえもあり、戦闘の演出もキャラクターがグリグリ動き見応えがあります。
難易度は「ルナティック」でプレイしていますが、
- 防御の弱い味方を守るように配置する
- 有利武器で敵を誘い出す
- 地形を利用して人数差を覆す
- 戦況が悪くなった時、追い込みにエンゲージを使用する
など、こちらの不利になる要素を潰して1手1手を動かす詰将棋感が非常に楽しいです。
各戦闘10回まで1手ずつターンを巻き戻す機能も搭載されており、理不尽さも軽減されているのも◎
新要素<エンゲージ>を組み合わせた絶妙なバランス調整
目立ちにくいところかと思いますが、本作のキモとなるのが神がかった戦闘のバランス調整にあると思いますので詳しく語ります。
まず、本作から導入された「エンゲージ」は、紋章士との合体要素する新要素です。
エンゲージは、戦闘中の専用ゲージが最大まで溜まったら任意で発動可能。3ターンの間、紋章士と合体し強化状態になれます。
ステータス上昇効果に加え、専用のスキルが解放される他、エンゲージ中一回、強力な効果を持つ必殺技を放つこともできます。
- 遠くの敵にワープして移動し強力な魔法を放つ
- 全体回復を行う
- FEでは通常状態ではできない範囲攻撃ができる
- 10マス先の敵に遠距離攻撃を行う
- 範囲内の味方を全員再行動させる
などなど、必殺技はもちろん、専用スキルも脅迫なものばかりで、シミュレーションRPGにおいて「そんな性能あっていいの!?」と思うような規格外の性能を持つものばかりです。
そのため紋章士の指輪が増えてくる後半に行くとヌルくなっていくんだろなーと思っていたのですが、FEエンゲージでは序盤がチュートリアルと言わんばかりにどんどん難しくなっていき良い意味で期待を裏切ってくれました。
敵個体はこちらの陣営より数段強く、物量もありクラス配置も嫌らしく増援もありとプレイヤーを追い詰めてきます。
高難易度では「エンゲージ」「マップの地形」「バトルシステム」をすべてフル利用しないと勝利を目指すことができない絶妙なバランス調整。決して理不尽ではない難易度で持てる力と知識を最大限に活用してバトルに挑む面白さは格別でした。
最近リメイクされた「タクティクスオウガ」は、バフカードと呼ばれるシステムでプレイヤーの待ち戦法を潰したくて失敗しました。
しかしFEエンゲージのルナティックは、待ち戦法も重要ですが守りだけでは厄介な敵が居た場合にすぐに突破されるので、こちらから厄介な敵を排除する「攻勢」、物量を耐え凌ぐ「守勢」をマップと敵の動きに合わせて、最適化させて行動を選択する必要があります。
バフカードなんていうわけわからないシステムを導入して、評価を地に落としたタクティクスオウガのスタッフに爪の垢を煎じて飲ま(以下略)
新システム「エンゲージ」で新たな戦略を加えつつも、きちんとバランス調整がなされている神がかったバランス調整はFEエンゲージの一番の特徴だと思います。
試行錯誤してキャラを育成するのが楽しい
難易度が高い分、各キャラクターにどんな役割を持たせるか考えながら育成するのが楽しいです。
本作では育成に使うリソースがかなり厳しめに設定されています。
- 武器の購入・強化に使う「資金」
- クラスチェンジに消費アイテム「マスタープルフ・チェンジプルフ」
- 紋章士からスキルを継承するために必要なポイント「SP」
リソースは限られているので「武器の強化は何を優先させるか」「誰をクラスチェンジさせるか」取捨選択に非常に悩まされます。
現在就いているクラスによってレベルアップしたときの成長するパラメータも変わってくるので「長所を伸ばすクラスを転職するか」「短所を補うクラスに転職するか」など、育成方針の自由度もあります。
育成に必要な資源は限りがあるので、「誰をどのクラスで運用しようか」「誰をパーティに入れようか」ゲームをプレイしていない間も、ついつい考えてしまうほどの面白さがあります。
ビジュアル・サウンドのクオリティも高い
家庭用ゲーム機で発売されるようになって、ビジュアル・サウンドのクオリティもさらに高くなりました。
風花雪月では硬い表情だったキャラモデリングも、本作では表情が豊かになり進化しています。
戦闘中のBGMも、テーマソングをアレンジした楽曲使用されており良好。風花雪月が良すぎたため心配していましたが、本作もしっかりとゲーム音楽好きにも満足できる仕上がりだと思います。
問題点・悪かったところ
序中盤のシナリオはイマイチ
ストーリーは、紋章士が宿る指輪を集めて邪竜に立ち向かうという王道なストーリーですが、割とツッコミどころが満載で気になります。
- 敵に占領された城の王室まで、特に妨害なくたどり着ける
- 絶望的に追い込まれている状況から、何故か逃げおおせている(どうやって逃げたかはカットされていてわからない)
特に序盤・中盤は、盛り上がりもなく物語が進むのでシナリオ重視で購入した人はキツイかもしれません。
ただし終盤にかけては、序盤から張ってあった伏線が改修され、盛り上がるシーンもあり面白かったです。
お祭りゲーとして期待していなかったところではありますが、期待以上に楽しめました。
支援会話・絆会話は面白みがない
支援会話・絆会話は、面白みがありません。
- 支援会話は、戦闘を通して仲良くなったキャラクター同士の特殊会話
- 絆会話は、戦闘を通して仲良くなったキャラクターと紋章士の特殊会話
キャラクターは30人以上、紋章士は12人いるので、組み合わせが膨大でエピソードの数も尋常じゃありません。
しかしその分1つ1つのエピソードが薄く、虚無感を感じてしまいます。
支援会話は、キャラクターを深堀するFEでも望まれているシステムだと思いますが、このままでは薄いシナリオになってしまうので、支援会話は主人公と仲間だけの関係に絞るなどテコ入れが必要かと感じました。
拠点ソラネルの日課がつまらないし量が多い
戦闘の合間にある拠点ソラネルでの自由行動ですが、やらなければならない行動が多く面倒に感じます。
- マップ上に落ちているアイテム拾い(通称:ゴミ拾い)
- キャラクターの鍛錬(3回まで経験値獲得)
- 指輪磨き(紋章士との絆が上昇)
- 料理(次の戦闘のパラメータアップ)
- ミニゲーム(筋肉体操・ドラゴンシューティング・釣り)
特にミニゲームは面白みがなくつまらないのですが、次の戦闘時パラメータが上昇したり、アイテムを獲得できるのでやらざるを得ません。
指輪磨きも、指輪をボタンで擦って、紋章士が反応してくれる「いつの時代だよ!」と突っ込みたくなる仕様。こちらも毎戦闘後12人分(持っている指輪の分)やる必要があり苦行です。
ソシャゲのデイリーを毎回やらされるような感覚でしんどかったです。
育成に制限を掛けられているようなシビアなバランス
メリットでもお伝えしましたが、本作はゲームバランスを保つためか育成方法にかなりシビアな制限が掛けられています。
- スキルの継承に必要なSP
- クラスチェンジに必要なプルフ
- 武器の購入・強化に必要な素材・資金強化
など、入手経路・個数がかなりきつめなので、「誰をクラスチェンジさせるか」「何の武器を強化するか」取捨選択が必要です。
私はこの「限られたリソースを使って、どのようにパーティを強化していくか」と熟考するポイントが面白いと感じましたが、制限なく自由な育成を楽しみたいという人には煩わしく感じるかもしれません。
総評・まとめ
ボリューム | 1週:80時間 |
ストーリー | 3.5 |
ゲームシステム | 5 |
グラフィック | 4 |
ゲームBGM・音楽 | 4 |
キャラクター | 3 |
おすすめ度 | 4.5 |
ここまでファイアーエムブレム エンゲージを実際に遊んだ感想をまとめさせていただきました。
総評としては、戦闘面の完成度が高く、戦略性のある戦いと育成を楽しめる無骨なシュミレーションRPGといった感じです。
問題点
- シナリオ面はイマイチ
- 支援会話・絆会話は面白みがない
- 拠点ソラネルの日課がつまらないし量が多い
- 育成に制限を掛けられているようなシビアなバランス
評価点
- シリーズ安定のバトルの面白さ
- 試行錯誤してキャラを育成するのが楽しい
- 新要素<エンゲージ>を組み合わせた絶妙なバランス調整
- ビジュアル・サウンドのクオリティも高い
Amazonのストアレビューは低めですが、前作「風化雪月」があまりにも出来が良すぎてしまったため、ハードルが上がって相対的に悪いイメージが付いてしまったかなという印象です。
また、高難易度の戦闘の絶妙なバランス調整については、ライトユーザーの人には気づかれにくいという点もあります。
確かに「シナリオ」「BGM」「キャラクター」とゲームとして全体を見ると前作「風花雪月」より劣る印象ですが、戦闘と育成部分については前作を遥かに上回っていると感じます。
歯ごたえのある戦闘で、じっくり考えて戦う戦略性の溢れるバトルを楽しめる作品なので、戦闘好きのゲーマーの人は是非手にとってみてください。
FEエンゲージにおすすめな人
- 戦略性のあるバトルが好き
- 取捨選択のある育成を楽しみたい
- ゲーム音楽が好き
- FEシリーズ経験者
前作「風花雪月」も見プレイの方は是非!